会社法の施行によって最低資本金制度が撤廃され、法人の設立がかなり容易となり取締役会非設置会社として取締役3名未満の株式会社に変更することも可能となりました。
有能な社員の役員登用とともに、名義だけの役員を退任させるのが、企業の正常な姿といえます。
会社の現状を見据え、経営に参加できる従業員がいるのであれば、積極的に役員として登用すべきです。ワンマン社長故に方針が偏りがちな企業にはプラスに作用していくことでしょう。
会社法において役員(取締役)とは、取締役会を設置していない場合、取締役は会社の業務を執行し、取締役会設置会社において業務を執行する取締役は代表取締役のほか、取締役会で選定された取締役とあります
業務執行権を有する役員は、法人と一体となって業務を行う者であり労働基準法9条でいう「労働者」には該当しません。
労働保険に関する問題点として・・・
法人の役員であっても労働者として取扱われる者は珍しくありませんが、前提として
① 業務執行権を有していないこと
② 業務執行権を有する者からの指揮命令権を受け、「賃金」を受けている者が該当
いわゆる使用人兼務役員の取扱いと思われ、労働者としての身分に着目し、労災保険、雇用保険の対象としています。
「常務に従事する役員」=「業務執行権を有する役員」の場合、その役員に労働保険の適用はありません。
役員就任によって業務内容の変更(業務執行権の発生)とともに、労働保険の対象からも外されると、労働者、会社ともに大きなリスクを抱えることになります。
人的余裕のない中小企業は、社長自らの代表者の業務とともに、当然のように自ら労働者の業務も行います。昨日まで労働者であった役員昇格者が役員のみの業務を行うことはなく、合い間において労働者の業務を行っているのが通常だと思われます。
労働者に該当しないものが業務災害に遭い、事故の程度が深刻な場合、会社は多額の治療費や場合によっては損害賠償等の大きな負担が生ずるおそれがあります。
また、役員昇格者がその会社の退任後は雇用保険の給付は原則ありません。
永年勤務した会社であっても、業務執行権を有する役員への就任は離職であり、就任後1年経過で給付が受けられなくなります。
今回の法人税法の改正により、節税対策の一環としてこの動きが加速しているように見られます。
企業の現状を見直し、適正に役員を選任し業務を執行する積極的な戦略は大いに行うべきですが、一方でこれに伴う影響として従来当然に受けられるべき労働保険が受けられなくなる場合があることを十分に使用者・労働者双方に説明し、万全の対策、配慮が必要と思われます。
具体策として、業務災害に備えて「労災保険の特別加入」をするのは必須であり、雇用保険については将来の未給付に納得してくれない者がいれば、それに見合う役員報酬や退職金の上乗せを検討してあげるなど様々な提案を行っていかなければならないと思われます
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